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かたどる、と読む。いつの間にか、言葉を生業とするようになって、もう35年を超えた。コピーライター専業は、30歳から10数年だが、プロデュース業が主になってからも、企画やイメージの伝達は、自ずと言葉が先導し、プロジェクトの可視化と牽引を担っている。

AIが発達したら、コピーも考えてくれるんじゃないかという意見がある。実際、状況に合わせて典型的フレーズを産み出す仕組みはすでにあるらしい。でも、その瞬間に最も人の心を打つ言葉って、アドリブでしか出てこないと思っている。前に先達はいない、最先端の場で瞬時に捻り出される言葉は、マニュアルはあるはずもなく、到底間に合わうわけがない。
つまり、言葉には旬がある。タイミングがある。生きた言葉が必要とされるのは、ルールが生まれるそのずっと前なのだ。未体験の何かをまず象るのは言葉。実は、コピーライター時代はこの事実に気づいてはいなかった。プロデュースで企画を練るときのフレーズが軸になって、プロジェクトが形成されていく場面を幾度も見て、この真実に改めて開眼した。

小学校から高校まで使ったボロボロの国語辞典より。

by 江副 直樹 2021-8-6 10:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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