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スピリチュアルな意味ではない。上っ面のわかりやすさばかりを求める近代の風潮に、いい知れぬ不安を覚えている。進んではならない方向へ踏み込んでいるような、それでいてうまく表現できず、深いもどかしさを抱えながら、こうして何度もトライをしてしまう。

そんな最中、面白い本に出会った。「天然知能」という。著者は郡司ペギオ幸夫氏。天然知能とは、AIと対極の知恵の有り様で、データで社会を読み解く人工知能、認知された情報だけで世界を構築する自然知能、さらに未知の何かを抱えながら思考する天然知能。僕流の勝手な解説で甚だ恐縮だが、ここに感覚や創造の秘密が潜んでいるような強い印象を受けた。
こちらも再三言及するレヴィ・ストロースのブリコラージュにも酷似した、見えないからって、知らないからって、それを排除したら、本当の答や僕らの未来も見えなくなるんじゃないか。曖昧やボンヤリこそが鍵なんじゃないか。これは決して科学の否定じゃなく、どころか科学がいま、ようやく入り口に辿り着いたと知る、知性のスタンスについてのお話。

考えてらっしゃる人はいるんだなあ。とても心強い。

by 江副 直樹 2020-12-14 22:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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