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プロデュース。わかりづらい仕事のようだ。チームスポーツの監督に喩えたり、オーケストラの指揮者になぞらえたりするが、そこで膝を打つ人はそんなにいない。過去の実績を知って、ボンヤリ納得していただくことが最も多いだろうか。見えるのはそこだけだから。

つまり、わかりづらさの要因は、その抽象性なのだろう。計画全体の、しかも未来の話をしなければならない。ビジョンと言うヤツだ。遠くにそびえる山の頂上を指し示す。あそこに登りますと。そしておおまかなルートを伝えるが、ここでより詳細な地図を欲しがり、登山ルートを確定したがる場合がある。いやいや、これは探検だから地図はあるはずがない。
登攀方法も複数の選択肢を想定し、状況を見ながらアタックを掛ける。ここで必要なのは即興性。所謂アドリブ。予め決めたことを行う手続きではない。事前に確定させられないから自ずと抽象的になる。難しく言うと「メタ認知」。新しいプランは、必ず見えず触れないもので作られ、動かされる。未来への扉はそれでしか開かない。実に面白い仕事である。

見えるものだけ見ていては、所詮世界はわからない。

by 江副 直樹 2023-9-7 10:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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