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善人が殺す。

2021.8.12

穏やかじゃないタイトルだ。重々承知。奇しくも、先祖の霊を迎えるとされるお盆の只中に、この国は終戦記念日を迎える。毎年毎年、僕はこの時季になると、このフレーズを改めて想い出す。20代だったか30代だったか、辿り着いた結論。繰り言万回。何度でも言う。

あの凄惨な戦争に陥ったのは、政府や軍部にいた狂人の仕業ではない。最初の種は、ごくごく普通の市井に生きる大衆の、悪意からも遠い消極的な支持の挙げ句。日本特有でもない。1930年代のナチスも然り。同様の事例は歴史に累々。人間の業と括るほど、諦観にも至れない。今日も起こっていることだから。悲劇の萌芽は、紛れもなく僕らの日常の中にある。
このブログにも、同じテーマで何度か書いた。2012年「言うべきを言う」、2017年「図書室の片隅で」、2020年「同調圧力」など。仕事も遊びも、穏やかな暮らしがあってこそ。そこへの途切れぬ配慮とそれを守る平時の勇気が、何よりも重要なのだ。きっかけとなった50年前に見た小林多喜二の拷問死の写真。汗ばむ盛夏の不快は、こうしていまも必ず甦る。

したり顔で発言をしない大人には虫酸が走る。

 

by 江副 直樹 2021-8-12 10:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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