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まみれると読む。与件とは、すでにそこにある現状のこと。僕の繰り言のひとつに、世のいい企画はすべて前提をいじっている。というのがある。現状とそこに至る経緯の説明を受けて、なんら遡ることなくそのまま新たな穂を継ごうとするなんて、革新とはほど遠い。

原因は必ずその文脈にある。なのに、多くは依頼主の希望や懇願を聞き過ぎて、メスを入れようとしない。それで根本的、抜本的、本質的な改革なんてできるはずがない。せいぜいやれてマイナーチェンジだ。依頼主のご要望に応えるのが仕事だと信じる向きは相変わらず多いが、なにが真の要望なのか、それが問題だ。欲しいのは薬?いや健康じゃないのか?
我が仕事を緻密なご用聞きと考えるか、病を治し心身の健康に導く医者と考えるか。その違いがそのまま仕事ぶりに反映する。依頼のほとんどは、依頼主が自覚できる一部でしかないので、そこだけに直接対応していても、解決は近づかない。結局、頼まれてもいないその他大勢の知見を動員することになる。つまり、与件にまみれてちゃあ、成就なんざ覚束ない。

結局、日々何を考え、いかに覚悟をするかってことだと思う。

 

by 江副 直樹 2025-7-11 16:04 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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