霜々のものたち。
2012.11.28昨晩は丸い月が頭上に上がり、今朝は今季一番の冷え込み。ついに冬が来た。
昔は寒いのは苦手だった。どんなに暑くても平気だけれど、寒いのはなんとも侘びしく辛くて、ずっといやだった。それが山の暮らしに慣れるにつれてだったか、あるいは加齢がゆえの心境の変化があったか、いつの間にか冬を好むように変わってきた。
冬の凛とした空気は内なる背筋まで伸ばしてくれる心持ちがする。草いきれが影を潜め、色を亡くした冬枯れも悪くない。師走の声を聴く時分になると、山の上では氷点下も珍しくなくなる。そんな快晴の朝、周囲は雪が降ったような霜に覆われる。見慣れない頃は雪と思ったことも一度や二度ではない。そして、これが美しい。間近で見ると尚更だ。
カメラ越しに観ると、そこには信じられないほど繊細でダイナミックな造型が広がっている。谷に陽が差すまでの束の間、あらゆる場所に生まれているさまざまな霜を眺めては写真を撮る。豊富な朝露が凍るとき、結晶は多彩な展開をする。吐く息は煙のようで、耳は痛く、手はすぐにかじかむのだが、この厳冬期ならではの愉しみ、もはや捨て難い。
今日はこうげから戻り、新居建築に向けた職人たちとの顔合わせ「小屋入り」を開催。
by 江副 直樹 2012-11-28 22:10