解けぬ宿題。
2019.5.13物心ついた頃から、僕らは考えている。思考の対象は、都度変わりながらも、壮大も微細も、高尚も下卑も、具象も抽象も、何もかもアタマのあちこちで転がしたり寝かせたりして、時にココロとも往来させつつ、あーでもないこーでもないと日々を過ごしている。
すぐに見つかる答もあれば、いまだ答のずっと手前で、延々迷走を続ける事柄もある。しかし、60年以上生きていると、膨大な思考と答が繋がってきて、系統だった曼荼羅のような全体の絵が見えてくる。その解像度には高低があるが、子供の時と比べれば随分と視界は広がった。世の中を貫く原則らしきものがわかってきたり、因果が見えてきたりするのである。
性分なのか、解けない宿題を捨てることなく抱き続ける。同時に、なぜか気になった情報の断片を集め続ける。すると、ある日突然、その情報が、宿題の鍵穴にカチリとはまって、扉が開くことがある。レヴィ・ストロースのブリコラージュはこの感覚を言うのだろうか?僕がブリコルールかどうかはともかく。あまたの解けぬ宿題は、ゆめゆめ捨てるべからず。
by 江副 直樹 2019-5-13 2:02