親父に似る。
2022.10.3ある日、車中で戯れの自撮りをやった。帰宅して、Macにアップロードしていて愕然とした。「親父やん」。その写真は、20年以上前に74歳で逝ったわが亡父と瓜二つだったのである。最近掛けている釣り用に作った偏光グラスが、事情に拍車を掛けたらしかった。
晩年、親父はよく似た色付き眼鏡を掛けていた。それにしても、DNAの馬鹿正直なことよ。まあ、確かに子供の頃から、親父似だとの指摘は多かった。高二の夏だったか、親父の郷里に家族で里帰りしたことがあって、暇を持てあました僕は、近所の田園風景の中をブラブラ歩いていた。その時、事件は起こった。前から、籠を背負ったお婆ちゃんが歩いて来た。
すれ違い様、僕を見上げたお婆ちゃんは、突然叫んだ。「あ、あんた、愼八さんの子じゃろ?」、愼八は親父の名前だ。僕は心底驚いた。見ず知らずの土地で、初対面の老婆に親子関係を見透かされたのだ。かろうじて頷くと、お婆ちゃんは「若い時の愼八さんが歩いて来たと思うた」と照れ笑いをした。因みに、いま高一の次男は僕とそっくりと言われている。
by 江副 直樹 2022-10-3 12:12