螺旋的上昇。
2023.7.19あるいは螺旋的下降。豊かさと言われる暮らしの中身の話である。恐らく歴史の年表のせいだと思うのだが、太古の昔から現在に至るまで、ずっと直線的に進歩し、豊かになってきたと思いがちだ。僕は以前から、この感覚に違和感がある。本当に進んでいるのか?
石器時代からすれば、確かに大きな変化だろう。掌の中の小さなデバイスが世界中に繋がり、宇宙はごく身近な距離になっている。その一方で、人間の営み自体はそれほど変わっていないようにも思うのだ。生まれ、恋をし、結婚して、子を育て、世代を継いで行く。食事をし、トイレに行き、夜は眠る。喜怒哀楽は今も昔も西も東も、ほぼ変わることはない。
直線と言うより、それはきっと螺旋状で、上から見ればただぐるぐる回っているようで、横から見たら多少上下しているくらいのものじゃあるまいか。もし世界から一切の諍いが消え、ひとり残らず幸福になったなら、それは間違いなく進歩と呼んでもいいけれど、現実は笑えるほどに違っているではないか。はてさて、僕らはどこまで進んでいるのやら。
by 江副 直樹 2023-7-19 8:08