
花を拾う。
2023.5.1毎朝散歩をする。田舎町のはずれ、大きな神社の鎮守の杜を、写真を撮りながらフラフラ歩いている。深山幽谷とまではいかないけれど、四季の変化は驚くほど多彩を極める。時は朝に限るものの、花鳥風月の豊かさに日々胸をときめかせている。中でも花は、饒舌だ。
山桜の花が最も好きと公言しているが、すぐには目立たぬ小さな野草も、充分に豪華であるし、季節を彩る満開だけでなく、落花の果てに地表を飾るプロセスも負けず劣らず美しい。それで思わず、花びらをいくつも拾っては掌に乗せ、じっと見入ったりする。そろそろ古希の見えてきた爺の、なんとも気味悪い振る舞いではあるが、ついついやってしまう。
墜落する花々は、当然生の盛りを過ぎていて、もう変色や劣化が始まってはいるのだけれど、その段階ならではの色香というものもあって、なんとも捨てがたい。かくして、咲いては喜び、落ちては楽しみ、朝の一刻は静かな興奮の中でたちまち過ぎて行く。花咲か爺さんならぬ、花拾い爺さんは、今日も珈琲を飲み終え、いそいそと裏玄関の扉を開けるのだ。
by 江副 直樹 2023-5-1 12:12