終の棲家か。
2014.1.29春のような陽気。ダウンセーターなんて着ていられない。こんな日は川の匂いがする。
家が建った。その気になって約2年。今日は設計事務所主催のオープンハウス。施主の気分としては長い2年だが、事務所としては最速物件である由。随分無理を言ったが、お陰様で想像以上に魅力的な家になった。デザインと職人技の成果。こうなると早く住みたい。
実家を出てからは、ずっとマンション暮らし。飽き足らず、田舎に移住し、農家を借りて住んだ。およそ13年。自力のリノベは楽しく、山村の暮らしも性に合った。そのまま居着こうと思ったが、運命はままならず隣町のはずれに家を建てることになった。プロデュースで関わる複数のプロジェクトが、新居の有り様をほぼ決めた。これも流れと身を任せた。
建築家も端から頭にあった。ヤブクグリ、日田職人会との繋がりで、素材や手法も半ば必然で、日田の杉と土を多用する家が生まれた。村の家「分母庵」で蓄積された生活のパターンが盛り込まれ、新しくも懐かしいモチーフに満ちた住まいになった。周囲からは終の棲家だと言われるが、実はそんな気負いはない。すべては、そばにおわす神様の召すままに。
仮住まいを引き払い、そこと分母庵の荷物を運び込み、徐々にマイペースを取り戻す。
by 江副 直樹 2014-1-29 22:10