植物の中にさえ戦略。
2011.11.17朝は冷え込むが、日中は薄いウールのパーカーが心地よい。過ごしやすい秋の終わり。
少し前の週末、子供たちとムカゴ採りに行った。黄色く色づいたヤマイモの葉を探して、家の周辺から、林道をふらふらと歩いて、ポケットに少しずつ獲物を溜め込んでいく。夢中になると、道から外れて、草地の中、森の中についつい踏み込んでしまう。
気づけば、僕のジーンズにはさまざまな植物の種子がまとわりついている。子供たちのズボンにもいっぱい。昔、投げ合って遊んだヒッツキボウを思い出す。この季節、野山を歩けば、必ず衣服は種だらけになったものだ。友人の農学博士 伊東啓太郎氏のレクチャーを受けたとき、植物が備えるその仕組みを、strategy=戦略と呼ぶことを教わった。
常々、戦略の重要性を説いている身としては、生き抜く策略とも言うべき知恵の美しさに、甚だ感銘を受けた。発想ではなく構想、戦術ではなく戦略。枝葉末節に重きを置かず、逞しく太い幹や、目に見えず広がる根こそ重視する。陽が陰り始めたのどかな秋の午後、僕の服にくっついて、大旅行を目論んだ小さな種子から、僕はまた元気をもらった。
学校を終えて、ひとつ打ち合わせを済ませ、3日振りの村に帰った。ホッとする。
by 江副 直樹 2011-11-17 22:10