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朝陽幻譚。

2011.10.24

庭や道に落ち葉が目立つようになった。風が吹くと必ず落ちてくる。冬間近。

もう早起きを始めて何年になるだろうか。元々朝が好きで、夜更かしに振れた時期もあったが、またぞろ朝型となっていまに至っている。四季を通じて夜明け前に起き出し、日の出前後に稼働し始めて、陽が上がるにつれて、世間と同調していく毎日。

朝陽には、きっとその時だけにしかないなにか貴重な養分のごときものが含まれている。山の向こうからうっすらと明るくなって、徐々に谷や木々のかたちが露わになるとき。見上げる雲々が赤やオレンジの色を帯びていくとき。あたりには、日中とは明らかに異なる新鮮な空気が充ち満ちていて、なにやらエネルギーが充満していくのがわかる。
その滋養豊かな物質は、光のようでもあり、匂いのようでもあり、風のようでもあって、早朝の谷一帯に浮遊しているのに、直接陽が差し始めると、にわかに姿を消してしまう。さらに谷中に太陽が陽をかざす頃になると、それまでの雰囲気は雲散霧消、すっかり別世界に変わり果てるのである。それはまるで小さな一生のごとき一刻なのだ。

明日、明後日は比較的ゆっくり。溜まった仕事を片付けよという神の啓示。大袈裟。

日の出は近い。

海のそれに比べると、山の光の変化は控えめだが、美しさは格別だ。

陽が差し始めた。

陽が上がると谷の風景は一変するが、その始まりは驚くほど神々しい。

by 江副 直樹 2011-10-24 22:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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