晩秋を踏む。
2014.12.12少しずつ寒くなる。霜が降り、氷雨が降る。手がかじかみ、耳が痛い。師走だもの。
日に日に秋は深まる。木々は次々と葉を落とし、鬱蒼としていた森は、徐々に見通しが良くなり、明るくなる。虫の気配が消え、清潔感が高まってくる。気づけば、足下には色が失せ、乾燥した大量の落ち葉が積み重なり、分厚い絨毯のようになっている。
日課となった毎朝の散歩は、季節の移り変わりを心身に刻む心地よい時間だ。暑いとき寒いとき、その間の程よい時候、どれも継ぎ目無く、行ったり来たりしながら、暦はめくられる。絢爛たる紅葉の盛りを過ぎたけれど、落ち葉を踏みしめて歩く感触もまた次なる愉しみ。風が吹くとかさかさと音を立てる森の中、数センチの深さの絨毯の優しい広がり。
そんな中、夏よりも増えている鳥の声なんぞ聴きながら、愛用のダナーのブーツでゆっくりと、踏みしめて歩くのだ。凛とした朝の空気。他には誰も居ない。得がたい時間。近頃、近場の出張なら泊まらずにできるだけ戻るようになったのは、ますますこんな快感に引き込まれているからだ。季節ごとの風景、季節ごとの悦楽、嗚呼、夜明けが待ち遠しい。
女房様が珍しく東京出張。息子2人としばらくお留守番。週明けは代わって僕が。
by 江副 直樹 2014-12-12 23:11