日常の時間。
2012.8.6毎日、何気に35℃を越える気温が報道されるが、僕が子供の頃はそんなに暑くなかった。
暑いだの寒いだの、ごくごく普段の人々の会話は、天気の話から入ると相場が決まっている。古今東西、それは同じで、いわゆる日常という時間の過ごし方は、トピックスがそうそう転がっているはずもなく、昨日と類似のことを繰り返しながら、日々はつくられる。
仕事というものは、してもしなくてもいいなどと悠長は許されず、誰も生活の上位に据えているものだが、かといってなによりも大事かと問われれば、少なくとも僕は最上位には置いていない。食っていかなくてはならないし、仕事を通じてさまざまな社会の課題を解決することもないがしろにはしていないが、日常の時間を後回しには到底できるはずがない。
「人生は些事でできている」とは、敬愛する山本夏彦翁の卓見だが、ときに所帯じみた行為もそれなしには人生は1ページもめくられることはない。取り立てて面白味のないぼんやりとした時の流れも、たいしてクリエイティブとも思えない毎日のことも、結局僕らの人生を構成する不可欠のひとこまなのだ。早朝、一日が立ち上がる頃、そんなことを考える。
明日から東京。遠い大都会での時間も、近頃は少し日常に近づきつつあるようだ。
by 江副 直樹 2012-8-6 21:09