我慢の挙げ句。
2021.7.1若い時の苦労は買ってでもせよ。その古諺は多くの人が知っているだろう。しかし、僕は若い頃からこの指摘に違和感を感じてきた。長じて、それなりの経験を積むうちに、その違和感はほぼ確信に変わっていった。いたずらな苦労は、人をかえって卑屈にすると思う。
それがDNAなのか、文化なのか、習い性なのかはわからないが、平均的日本人は我慢が過ぎると思う。言いたいことを言わない。同調を優先して自分の想いを押し殺す。多くの方に心当たりがあると思うが、問題はそれがために自制の効いた健全な社会になっているかどうかだ。ストレスは人を磨けているのか?懐の深い寛容な人々だらけになっているのか?
鬱屈した我慢が、根深い嫉妬や憎しみに変質していないか。結局は消化できずに、他人に対する陰湿な否定や出る杭を打つことになっていないか。僕は、現代の日本社会は意地悪だと思うことが少なくない。その原因が、過度の我慢にあるとしたら、そんなものは早いとこ止めた方がいい。嵐が過ぎるのを待っていても、嵐は次々にやってくる。そして人生は短い。
by 江副 直樹 2021-7-1 11:11