妖しきかな桜。
2014.3.30昨夕から雨。夜半には随分強く降る音で、目を覚まされた。満開の桜は大丈夫か。
またこの季節がやってきた。春が盛りを過ぎる頃、一斉に咲き始める桜。冬が過ぎて、枯れ野に花が目立ち始める。オオイヌノフグリ、ホトケノザが勢いを増し、梅花が春の到来を告げる。菜の花が出て来ると春も本番。その頃、地表には数々のスミレが現れる。
そして、桜がやって来る。枝々に蓄えた弾けんばかりの蕾が、満を持したように開き始めると、にわかにソワソワと落ち着かなくなる。世にあまた花はあるが、こんな気持ちにさせるのは、桜だけ。恐らく、こぼれるように花を咲かせたと思ったら、今度は先を争うように散り始める。なんと儚きことだろう。生き急ぐかのごときその様に、心は揺さぶられる。
新居のそばには、見事な桜並木がある。周囲の菜の花と併せて、この時季の得も言われぬ贅沢。それが夜来の雨風で、早くも桜吹雪となって、窓の向こうを流れていく。この歳になれば、花に嵐の喩えは、とうに身に染みているが、やはり焦燥に駆られる。俗に花は桜木、人は武士という。美しく散るには美しく咲かねばならない。改めて精進を思う春の一日。
明日は、大原で朝の打合せを終えたら、中津でレクチャー。明後日からはまた東京へ。
by 江副 直樹 2014-3-30 23:11