夜更けの咆哮。
2024.4.6現在のわが家は決して山奥にあるわけではないが、夜は充分に暗く静かになる。10軒ほどの家が点在するなだらかな傾斜を持つ小さな扇状地で、大原神社に繋がる逆V字型の森に囲まれている。思いの外動植物も多く、鳥はもちろん、蛍もいるし、キツネも見たことがある。
しかし、一番のお気に入りは、夏の夜に聞こえてくるアオバズクだ。これを書いている最中にも、どこかから「ホー、ホー」という風情豊かな啼き声が聞こえている。これが、一定のリズムで、途切れることなく明け方まで続くのだ。初夏から秋までの夏の渡り鳥。少し遅れてやって来る、昼のホトトギスのけたたましさとは一線を引き、夜更けを彩ってくれる。
ここ数年、早寝が祟って、深夜に目覚めてしまい、そこから神からいただいたような数時間を好き勝手に過ごすことが、半ば習い性になってきたのだが、そんな時のBGMとしては、アオバズクの咆哮は極上の部類に入る。いまだ憧れの消えない深山幽谷にいるような幻想に浸れるし、ついやってしまう仕事や読書が、いつもより深まる気分はなんとも心地よい。
by 江副 直樹 2024-4-6 11:11