善悪、真贋、裏表。
2012.2.24連日の春の陽気。ダウンをクルマに残して打ち合わせに出掛ける。渓の匂いがする。
日々、何かについて、これがいいだの悪いだの、意思表示をしている。プロデュースに限ったことではないと思うが、意見を述べるということは、取りも直さずそれは価値観の提示だ。それを他所から持ってくるのは、到底自分の考える仕事ではない。
善悪を決める以上は、説得の際に根拠が必要になる。それを、わが言葉で組み立てるか、世間に出回っている言葉で組み立てるか、耳触りは随分違ったものになるだろう。そもそも、根底に自分の心身に蓄積された感覚が敷かれているとき、その説明に一般のボキャブラリーが通用するはずがない。たくさんの人がそう言えば、それが正しいという暴力。
当事者のひとり一人が、まずどう感じるか。ここを尊重し、すべての起点としなければ、僕らの乗る船の舵は切れない。プロデュースを引き受けるということは、その船に乗り込むことなので、僕はせいいっぱい風を感じ、潮を読まなければならない。処女航海にマニュアルはない。ましてや、他の船の船長の判断など、ここでは役に立たないのである。
週末、息を整えて、来週からの嵐に備える。もうすぐヤマメの解禁だというのになあ。
by 江副 直樹 2012-2-24 22:10