名医たること。
2023.3.14この世のあらゆる仕事の目的が、課題の解決だとすれば、医者になぞらえるのがより自然な感じがする。症状の原因を突き止め、患部を探り当てる。静養、投薬、注射、手術といった治療法を決め、その処方箋を書き、施術後の経過を観察し、必要あらば善後策を練る。
診察の始まりは問診。ヒアリングによる状況と要望の把握。思うに、この時のスタンスで、おおよそ結果が左右される。つまり、前述の正確な状況判断と治療法の決断に至るには、中立的冷静さが不可欠。ところが、近ごろは患者の顔色を窺い、要望ばかりを集めるタイプも増えている。だがそれは医者ではない。単なるご用聞きだ。最も重要なプロセスの軽視。
経験上、分野領域を問わず、仕事ができる人はすべて名医と言うことができる。常にわが知見を信じ、悩み苦しむ患者を快方へ導く医者でいたいと思うが、甘言を弄する輩に惑わされる大衆は増加の一途だ。時に苦い薬や痛い注射も辞さない名医は、信頼を得るまでは患者に疎まれやすい。多くの人を助けていながら、自らは困窮する赤ヒゲってのも、やだけどね。
by 江副 直樹 2023-3-14 12:12