原石のまま。
2023.5.31あと2年半ほどで古希を迎える。ここへ至って初めて得る資格というものがあるような気がしている。つまり、過去を振り返る資格。昔話に埋没するのは、未来の見えなくなった老人の哀れだが、経験の中から普遍や原則を紡ぎ出すのも老人ならではの責務かと思われる。
さまざまなプロジェクトを動かして来て、いくつかの得心がある。企業にしても、地域にしても、必ずポテンシャルがある。わかりやすく原石と言い換えているが、そこここに山のように原石が埋まっている。ただし、ほとんどの場合、それは発見されることはない。原石の豊かさを褒めると、皆さん喜ばれるが、実際にそれが磨かれることはとても少ない。
それほどイノベーションとは難度の高いものなのだろう。大きな成功体験があったりすると、それはさらに厄介になる。革新の本質は、自己改革に尽きるのだが、多くは周囲の状況を変えようとして、時間と労力とお金を浪費する。原石は自分が変わらないと見えないし、手にできることはない。宝とは、見つかるものではなく、自ら気づくべきものなのだ。
by 江副 直樹 2023-5-31 11:11