医者として。
2022.4.23僕の仕事は、全体を司るプロデュース業だが、さまざまな制作物が発生し、その監修つまりクリエイティブディレクションも、作業の主要を占める。まず、ヒアリングで事情を把握し、コンセプトワークという考えの整理を経て、なにをすべきかという判断に辿り着く。
この辺りは、医者の仕事に酷似しているとずっと思ってきた。ヒアリングは、そのまま問診で、コンセプトワークは、納得に導くインフォームドコンセント。なにをすべきかという判断は、取りも直さず処方箋と考えている。ところが現実は、ヒアリングは御用聞きとなり、インフォームドコンセントはひたすら希薄になり、処方箋は患者の希望のままになる。
裏に隠れた患者の重篤な状況を察知し、口に苦い良薬、ときに痛みを伴う執刀を受け入れていただく説得に挑み、最も効果的な処方箋をしたためる。気づけばすっかり快復し、健康増進さえ果たされている結果を求めたい。臆せず自信と責任を持ち、果敢にその任に当たることこそ僕らの「仕事」だと改めて感じ入る今日この頃。だって旨い酒を飲みたいじゃない。
by 江副 直樹 2022-4-23 10:10