フラー先生。

言わずと知れたこの御方。リチャード・バックミンスター・フラー。御名前は随分前から存じ上げているが、ドキュメンタリーは時々観るものの、御本を読んだことはなかった。それが、たまたま知人が翻訳している著作が目に留まり購入。初めてページをめくった。

いきなり全体性と専門性に関わる記述に引き込まれる。僕の永年の関心事。長い時間を掛けて、僕なりの分析と解釈を進めてきたつもりだったが、早々と鮮明な理論にまとめられていた。さらに、広大無辺な関心は、膨大で斬新な理論と実践へ発展する。建築家、数学者、哲学者、技術者、思想家、デザイナー等々。彼を形容しようとして、肩書だけが増え続けた。
宇宙船地球号の概念に代表される彼の思想は、多くの分野のキーパーソンに甚大な影響を与えた。伝説のホールアースカタログが生まれ、それによりS・ジョブスが覚醒し、フラーの下で働いていた建築家N・フォスターは、時を経て現アップル本社の設計者となった。ノーベル平和賞を受賞してないことが不思議でならない偉人。改めて先生と呼ばせてください。

ジオデシックドームの模型を掲げるフラー先生。(AP Photo/Bill Ingraham）