ここから本文です

気分はずっと17歳と言ってきた。若さを保っているというより、いまだ成熟せずといったところ。いや、もう成長の余地はほぼ皆無だろうから、遂に成熟せず、が正しかろう。この感覚は予想できなかった。誰しも歳を取れば、曲がりなりにも、大人になると思っていた。

新陳代謝を続け、脱皮を繰り返し、僕らは昨日とは違う何かになる。その時、若い時分に持っていたさまざまな疑問や憤懣が、じわじわと消えていき、泰然自若として、酸いも甘いも噛み分けた、穏やかな紳士になるものだとボンヤリ信じていた。ところが。なにひとつ変わらないのだ。いや、多少の身過ぎ世過ぎは身についたけど、それ以外がね。根本がね。
17歳の自分を苛んでいた、哲学的な問いとか、次々に気づく社会の矛盾とか。歳を重ねても考え続けている。答に辿り着かないから。また何より、あの頃面白いと感じたことは、いまも変わらず心を掻き立てられる。ここはそのまま。まったく。前期高齢者となったいま、成熟なんてしないと知った。そうか、17歳のまま老いていくのか。また楽しくなってきた。

高3の僕。バスケ部を勇退し、図書室に入り浸る。

by 江副 直樹 2021-6-26 10:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

by EZOE naoki

Archives

◎2006年3月 → 2010年8月