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お客様の声に応える。良く耳にするフレーズだ。要望≒ニーズにしっかり応えることこそ仕事との論説は多い。ボンヤリ聞いてると頷きそうになるが、しばらく考えていると果たして本当かなと思い始める。クライアントの口からこぼれた言葉は、そのまま要望だろうか?

どんな業種、職種にも存在するヒアリングやオリエンテーションが、誰でもできる「御用聞き」の時代もあった。求めるものが既知の何かで、互いにそれを明確に想い描けているなら、「あれ」は、間違いなく同じもので、それをいくつ、何時届けるかが要望のすべてだろう。しかし、その要望がどちらもまだ見たことがない何かであったら、どうだろうか?
ヒアリングは真意の掘り出しだと考えるが、それは正確で緻密な言葉で伝えられるわけでは決してない。専用の言葉のない未知の要求を、いかに解釈し、翻訳して、解答に繋げられるか。仕事に求められるのは、結局そこなのではないか。意に添うとは言いなりは異なる。クライアントの要望、社会の要望を汲み取ることこそ、クリエイティブの本質だと思われる。

ヒアリングには、常に冷静さと余裕を持って臨みたい。

by 江副 直樹 2021-9-7 15:03 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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