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落葉曼荼羅。

2022.11.26

春の桜吹雪、秋の落葉。僕の心の中で、ともにもののあはれを伴う胸騒ぎを、毎年引き起こす自然の営み。この秋も、イチョウの黄、モミジの赤に翻弄された。樹上で染まり、散って地表を彩り、生気を失ってしまうまで、何度も何度もワクワクし、ドキドキした。

イチョウの黄色は、得も言われぬ鮮やかさを備えている。大原八幡宮が鎮座する大原山にそそり立つ、数本のイチョウの大木。それが涼風を合図に、日に日に黄色を強める。それに促されたかのごとく、モミジも色を変える。しかし、桜花と同じで、紅葉のピークの前に落葉が起こり、時が進むにつれて、僕の視線は徐々に下を向き始める。落葉曼荼羅のご開陳。
イチョウは、ハラハラとひたすら葉を落とし、周辺は動揺するほどに黄色の絨毯になる。少し遅れてモミジの落葉。モミジは赤から黄までさまざまで、その多様性は狂おしいほど。モミジは落葉直後から退色が始まるが、面白いのは雨が降ると一旦鮮やかさを取り戻すこと。こうして幾度となく感動を繰り返し、季節はさらに深まって行く。今年もいい秋だった。

赤いおみくじ売り場に降り積む黄色い落葉。

折り重なるように降ってくる。つい踏みしめて。

モミジとの協奏。間違いなく美はそこにある。

老大木のモミジ。その根元に広がる豪華絢爛。

見落としていた一角。神のギフトは至る処に。

雨上がり、百段階段に広がる錦絵。好適な密度。

 

by 江副 直樹 2022-11-26 11:11 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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