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花を摘む。

2021.7.7

詩人でいたいという想いと関係がある。生きる上でのリスクを後回しにする性向とも繋がりがある。心地よさについてと言うべきか。花鳥風月という物差しもある。僕らは、何に惹かれ、何を手に入れようとして、歩を進めるのか。それは必ず花でありたいという話。

20年前に、福岡市の郊外から過疎の村に引っ越した。マンションが林立し、茶花を見つけることが困難になったから。愛する釣りにさらに没頭するために、川の近くに行きたかった。ヤマメは僕にとって、ずっと可憐な花だった。その後、鮎という別の大輪も知ることになる。早朝、山の連なりから上がる朝陽を、朝露や霜の中で眺める得も言われぬ満足感。
自然の中の暮らしは、大小の花を摘んでいるような心持ちだ。村で12年暮らして、いまは隣町の大きな神社のそばに居る。村ほどではないが、充分な自然が目前にある。川には一段と近くなった。蛍が飛び、フクロウが啼く。四季折々の風景が繰り返される。今も昔も、美はずっと変わらずそこにある。果たして、それに気づくのか、見えるのか。摘めるのか。

それは価値。それは宝。花とは比喩である。

 

by 江副 直樹 2021-7-7 10:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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