自然は尊いか？

そんなことは言を待たない。ところが、なぜ尊いかを説明できる人は実のところ非常に少ない。説明するとしても、情緒で語られることがほとんどだ。建材で、木がいいと力説する人は多くとも、その理由が明確に伝えられることはあまりない事情ともよく似ている。

さらに、科学的証左が揃えにくいというので、科学では説明しづらいという文脈に落ち着きがちなのだが、僕はここが落とし穴だと思っている。科学的見地とは相容れない価値と言った位置づけをしようとして、わかる人にしかわからないと、自ら孤立を招いてしまう。そうではなくて、現状の科学では、まだその価値を解析できていないと考えるべきなのだ。
今後、科学が更なる進化を遂げたら、ようやく自然の圧倒的な価値が、なぜ自然が尊くて、大切にしなければならないかが、誰にもわかるように説明されるようになるだろう。僕は長く耽溺する釣りの魅力を問われて、川に流れているのは水だけじゃないと言うことがあるが、要はここでも未だ見えない自然の中の宝を、どれだけ感じるかに集約されるのである。

自然の中に広がる未知の価値は、途方もないと思う。