網で獲れば？

釣りをしない人に向かって、釣りが好きだけど、なかなか釣れないと嘆いたりすると、何人かは網で獲ればいいじゃないかとのたまう。釣りはするけど、ほとんど食べないんだと言うと、理解に苦しむ表情をされる方も少なくない。魚釣りは、釣ること自体が恍惚なのだが。

野暮を承知で原価計算などすると、とてつもなく高価な獲物になることもある。さらにヤマメだったら、すべてリリース。うーむ。わかって貰おうと考えるのをそもそも止した方がいいのかもしれない。本来釣りは、経済原則から離れようとする風雅な衝動なわけだから、常識を持ち込まれても、文脈が交わることはない。欲しいのは魚そのものではないから。
人生は解釈だと思っている。プロセスこそ本質。どう食べるか、どう遊ぶか、どう働くか、そして、どう釣るか。僕は、ハレのために鬱屈したケを受け入れるのは真っ平御免だ。敬愛するコラムニストの故山本夏彦翁は、人生は些事にありと看破した。デザインすべきは日常。僕が、フライフィッシングと友釣りを愛している理由が少しは伝わっただろうか？

鮎はレストランに卸したり、ご近所にあげたりする。