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夏、鮎釣りが解禁になると、全国の河川でこのセリフが叫ばれる。釣り上げた鮎を手に取った友釣り師たちが、追い星やヒレが黄色味を強めているグッドコンディションの魚体を見つめて、勝手に好釣果への期待を高めながら、実にうれしそうに雄叫びを上げる。

カロテノイドという天然色素の一群がある。黄色から、オレンジ、ピンク、赤。動植物の色素はこれに由来するらしい。鮎は、エラ後方に現れる追い星をはじめ、胸ビレ、腹ビレ、尻ビレ、尾ビレの外縁部が、鮮やかな黄色に染まるときがある。それは概ね追い気の高さを証明していて、その後の爆釣を妄想させるのか、多くの釣り人が興奮度を上げていく。
僕も例に漏れないが、それ以上に美しさにウットリする。派手すぎないヤマメの魚体とはまた異なる、夏ならではの強い日射しに映える別格の華やかさなのだ。しばしば、釣りの手を止めて撮影に興じる。そんなことをせずに囮を交換し、循環のスピードを上げるべきなのだが、魚体を輝かせるヌルを味わいながら、今生の黄色を心行くまで堪能するのである。

タモの中の宇宙。まばゆいばかりの自然の色。

午前中の光だろうか。ダブルの追い星がまぶしい。

水中だとまた違って見える。逃げられることも。

サイズが伴えば言うことなし。27cmくらいか。

by 江副 直樹 2022-7-9 10:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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