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新しいプロジェクトは、突然始まるわけではない。時を遡っていくと、何年も前に思いついたアイデアを、アタマの中で転がし、発酵が進むと、まず親しい人に打ち明ける。反応を見ながら、さらに整理をしたり、表現を再考したり。それを何度も何度も繰り返している。

相手を代え、理解の度合いや共感の深さを測りながら、実装可能な手応えを感じるまで精度を上げて行く。そんなアイデアを複数の引き出しに格納する。密かに火を興すような感覚。中身は実にさまざまだ。具体的なデザインのアイデアもあれば、チーム編成に寄った発想もあるし、仕事の仕方自体に関するものもある。プロジェクトは所詮その組み合わせ。
変わらないのは、必ず最後は大きな因果関係に想いが及ぶこと。木について考えていると、どうしても森のあり方に辿り着く。部分の蓄積が全体を作るのではないとは、僕の好む繰り言だが、気づくと部分の総体である全体について考えている。そうこうしているうちに、それを持ち込めそうなプロジェクトが現れる。熾火はいつも大きな炎になる夢を見ている。

熾火の明滅は、まるで生きているように見える。

by 江副 直樹 2023-4-1 10:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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