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東京から戻ると、周辺の田圃は稲刈りの真っ只中だった。秋はこうして形を整える。

日田での仮住まいも半年を超えた。年内には新居での生活が始まるだろう。思えば、移住13年目にしての日田暮らし。そもそも日田に住もうと考えていた。12年の村住まいを経て、市民となるが、惹かれた理由はいくつかある。市内を流れる無数の水路はそのひとつ。

日田市は、その真ん中を筑後川が貫流する。市内の区間だけは三隈川と名を変えて、住民と水との関わりはいまも深く続いていて、水郷と呼ばれる理由もよくわかる。市内には、古くから大小の疎水が数多くあって、日田の風景に柔らかな情緒を与えている。目に優しいのはもちろん、流水の音が耳に心地よく響く。そして、周年豊富な水は涸れることがない。
気に入っているのは、苔むした石垣や底を覆う小石交じりの砂地で、コンクリート護岸には望むべくもない風情に満ちている。魚やホタルが生息する水路もあちこちにある。加えて、周囲を山々に囲まれ、ヤマメ釣り場も鮎釣り場もごく身近にある絶好のロケーションが、水路の流れのきらめきを見る度に思い起こされて、さらに気分が良くなるのである。

今日から学校は後期授業が始まった。新居のディテイルが日々決まっていく。

底の小砂利もいい。

田圃の横の水路に朝陽が差し込む。そこにはたくさんのゆらぎがあると思われる。

木陰の下を流れる。

家と家の間を水路が縫っていく。時折木陰が覆って、光の踊り方もまたいいのだ。

見事な石の橋。

橋も切石でできている。直線のコンクリートでは真似ができない得も言われぬ佇まい。

三隈川河畔へ。

大河から取り込まれ、地域を巡ってまた川へ戻る。川や水との関係が豊かな土地。

 

by 江副 直樹 2013-10-3 22:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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