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全体という仕事がある。甚だ残念なことに、これは時に見えない。木を見て森を見ず、という諺がある。実に言い得て妙。一般に個々の木に目は行きがちだけど、僕らは木の存在に加えて、森という存在に気づかなければならない。つまりこれは、森という全体のお話。

俯瞰するとか、鳥の目とか、言い方はいくつかあるが、部分だけ見てちゃダメだよ。部分だけじゃなく総体を意識しよう、と時折誰かが叫ぶ。個々を見ておけば、自ずと全体に作用すると思いがちだが、部分と全体は、別々に捉えるべきだと考えている。そして、この全体を意識せざるを得ない人のタイプがいて、これがプロデューサーやディレクターなのだ。
全体とは、部分の結果ではない。さらに全体は、抽象でもある。ホリスティック医療への注目がますます広がっているのは、部分偏重への本能的違和感ではないか。パーツではなく、総合的「均衡」やパーツ同士の「関係」が、全体を司っているのではないか。事実、科学的にも、森の木々は相互に繋がり、森としての生態もあるらしい。森の命と魂を想う夜。

もうすぐ木々はこうなる。若葉に埋もれる初夏がやってくる。

木立が森をつくる。森としての生態を意識できるか。

人工林でさえ、群落の存在が見えてくる。

鎮守の森はどこか優しい。森が人々を癒している。

 

by 江副 直樹 2020-3-9 10:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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