憎悪は消えず。

9.11。あれからもう20年が経った。マンハッタンに屹立する2棟のワールドトレードセンターが、CGかと思わせるような事件の当事者になったあの日。抜けるように晴れ渡ったNYの空が、かえってその痛ましさを増幅させた。あの光景はとても現実のものではなかった。

あの日は、計4機がハイジャックされ、上記に加え、ペンタゴンとペンシルベニアにも墜落した。死亡者約3000人。その3年後、当時4歳だった長男と妻を伴って現地へ行く機会があった。廃墟となったグランドゼロに足を伸ばし、ホテル近くの消防署に並んだたくさんの献花に言葉を失った。以来、ずっと胸の奥に残るしこり。結局は憎悪の連鎖じゃないか。
常々、人は欲望と感情で動いていると言い続けている。世の中を冷静に見渡せばそんなことすぐにわかる。でも、なぜかこれは忘れられやすい。膨大な武力や圧倒的な経済力で、それらを封じ込めると考える人たち。侮辱や蔑みがどれほど人の魂を傷つけるか。恨み骨髄。さらにそれが無差別な応酬に広がることが切なすぎる。僕らはどこまで愚かなんだろうか。

その旅で立ち寄ったMOMA、ジャスパー・ジョーンズのFlag。