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山の女と。

2023.4.7

山女と書いて、ヤマメと読む。最初に出会ったのが、24歳の春だから、もう随分長い付き合いだ。最初の一匹は、大分県のY川源流で毛鉤に掛かった15センチほどの個体。僕はそれを両の掌に乗せ、河原にひざまずいてしばらく見入ったことを、いまも鮮やかに思い出す。

正確に言うと、豊後水道に注ぐその川に棲むのは、亜種のアマゴで、体側に散る朱点が殊更美しく思えたものだった。以来、43年間あちこちの川を歩き回った。30年以上前、NZにも1ヵ月に及ぶ釣り旅を決行、巨大なブラウンを釣った。しかし、ここ20年ほどは、遠征は基本なし。釣りを日常に組み込みたくて、クルマで1時間圏内の近所の川だけを釣っている。
しかも、ライズの釣りという水面の羽虫を食べる魚のみを狙う、ヘンタイの極致のような釣りに耽溺している。釣りを、数で語る人もいれば、サイズで語る人もいるが、僕は「情緒」で語る派だ。大物も数も釣れないことへの言い訳にも聞こえるが、いやいや確かに物差しは違うと強弁したい。かくして、山の女への入れ込みは、この春も途絶えることがない。

今季のまともな1匹目。1cmに満たない虫を食べていた。

by 江副 直樹 2023-4-7 22:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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