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今朝もホトトギスの聲が聞こえる。不如帰、時鳥の別名も。「目に青葉、山ホトトギス、初がつお」は、馴染みのある名句。啼き声を表現するに、トウキョウトッキョキョカキョクとかテッペンカケタカとか。白み始める早朝から帳が降りる夕方まで、延々と啼き続ける。

夏季だけやってくる渡り鳥。その聲が盛夏突入の合図。大木の頂近くで一日中啼いているのに、一度たりともまともに姿を拝んだことがない。図鑑などで見ると、カッコウに似ている。巣を持たず、他の鳥に托卵することも同じ。もっとも託すと言うが、異母兄弟たちを巣外に突き落とす凶行までもが刷り込まれている奇っ怪な鳥。書斎にも川にもその聲が届く。
徳川家康、豊臣秀吉、織田信長のキャラの違いを、「啼かぬなら」の問答で表した警句は、多くの方がご存知だろう。啼くまで待つ家康、啼かせるとする秀吉、殺してしまう信長。しかし、なぜその対象がホトトギスなのか。ここでも不思議が付きまとう。夜明け、アオバズクの聲が止む頃、入れ替わるようにホトトギスの聲が響き始める。日の出はもうすぐ。

この森のどこかから、今朝も甲高い聲が響く。

by 江副 直樹 2022-6-8 10:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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