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何の因果か、プロデュースなんて仕事をしていると、人間の素性に向き合う瞬間が度々やって来る。難度の高いタスクを前にすると、きっと余裕がなくなるのだろう、ありとあらゆる感情や欲望が噴出するので、さながら人間博覧会だと笑ったことは、一度や二度ではない。

中でも、保守性については、毎度と言ってもいいほど、障壁となって立ちはだかる。現状が立ち行かなくなって相談が来る。突破しようとアイデアを提示すると、難色を示す。それは新薬に対する拒絶。自分たちが飲み慣れた苦くない薬で、この不調を乗り切れないか。症状は未経験の重篤さを示していても、未知の薬や手術は受け入れたくない。滑稽な不条理。
経験を積めば積むほど、この傾向は岩盤のように根が深く、頑迷なことに気づかされる。そして、多くの人は急激な変化より、緩慢な死を選ぶという哀しい真実に辿り着いた。この集積こそが成熟社会の衰退なのだが、その一方で、そんな大勢に与しない、アタマのイカレた連中が存在する。愛しきヘンタイのみんな、面白おかしく過激に生き残ろうじゃないか。

茹でガエルの喩えもあるけど、オマエはどうなんだい?

by 江副 直樹 2023-1-19 10:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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