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人の覚悟のほどを表すのに、サムライという言い方がある。命を賭して立ち向かっているか、不退転の心情でことに当たっているか。安全なんて保証できない瞬間がある。計画の立てようがない未知に飛び込まざるを得ない局面が必ずある。そこでどう振る舞うか。

ナイキ創業時の様子を書いたShoe Dogのドキュメンタリーの中、ナイキを助けようとした日本の商社の担当が、本社からの請求書をクビ覚悟で眠らせ、上司は当然激怒する。しこたま怒った後、その上司は電話の切り際、「良くやったな」と小声で囁くのだ。いま書いていてもまた泣きそうになる。肩書きなどではなく、人々が個人で仕事をしていた時代。
先日鬼籍に入った稲盛和夫氏。若き稲森氏が京セラを創業するとき、自分の自宅を抵当に入れて大金を出資した先輩がいた。なんと言う大きさ。僕が友人たちのクラファンや、支持する研究者や財団に小金を投じるのとはまるで次元が違う。閉塞状況を変えるのは、間違いなく誰かの覚悟だ。僕は果たしてサムライたり得るのか。老境の悶々は終わることがない。

最近は、サムライをヘンタイと言い換えてるよね。

by 江副 直樹 2023-2-18 8:08 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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