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長く教えているデザイン系専門学校や大学で、毎年必ず学生たちに言うことがある。「すべての技術はナイフである」。スキル、ノウハウ、テクノロジー、言い方はさまざまだが、それらすべて、使い方によっては善にも悪にもなり得る。「決めるのはキミたちだよ」と。

刃物は切れる方がいい。これは間違いない。技術は機能を突き詰める。これは宿命だ。となれば、切れるナイフをどう使うかは、僕ら次第。愛する人に美味しい料理を振る舞うためか、憎い誰かを刺し殺すためか。刃物が鋭利であればあるほど、それは上手くいく。鍵はコンセプトだ。その背後に横たわる人生観、世界観。思想哲学だ。鍛えるべきはそこなのだ。
そしていま、僕らが手にできる技術は格段の進化を遂げた。ナイフは切れに切れる状態だ。クリエイティブも技術のひとつ。メディアの発達でそれはいっそう増幅し、ますます使う側のコンセプトが問われている。仕事で頼まれたからって、なにやっていいわけじゃない。どころか、仕事こそ善悪のものさしを持っておかなければならない。みんな、わかったかい?

もう何代目か。アーミーナイフは実に使い勝手がいい。

by 江副 直樹 2022-9-7 10:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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