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日々表層を流れるものと、時折底に蓄積されていくもの。これは貨幣にも情報にも当てはまる。僕も含めて、人はついつい眼前のフローにかまけて、いつ役に立つかわからないストックをないがしろにしがちだ。でも、恐らく僕らの人生を豊かにするのは後者なのだ。

毎日次々と訪れるいろんなことに反応していると、たちまち日が暮れる。情報で言うなら、最新ネタを掻き集めることに疲れるより、じっくり腰を据えて古典に親しんだ方が、結果滋養に富んでいると思う。いたずらに古いものを賛美するわけではなくて、要は不易流行。そのバランスなんだけれど。ただ、近ごろはフローが勝ち過ぎている印象がやたら強い。
世界を眺めてみても、文化はつまりはストックの厚みに左右されている。サブカルなどの尖った新しささえ、ストックへの反動から生まれていると言えるはず。科学領域で、基礎研究の質量があればあるほど、斬新な発明に繋がりやすい構図と同じ。深く沈み込まなければ、高いジャンプはできない。仕事でも暮らしでも、僕はストック重視で生きていきたい。

12年暮らした古い農家。日本中に同様の空き家がある。

by 江副 直樹 2022-8-31 10:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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