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いつの頃からか、狭小住宅に憧れている。必要最小限の居住空間。茶室のような住まいと言った方が、ニュアンスはより正確だ。「行く川は絶えずして」の出だしで知られる鴨長明の方丈記。後半は方丈つまりわずか3m四方の庵を編み、そこで暮らす決意が述べられる。

この感覚は日本固有のものかと思っていたら、偉大なる建築家ル・コルビジェ先生が、晩年まさにそんな空間で過ごしたことを知ったのは、もう随分前。仏ニースにほど近い、カップマルタンという海岸沿いに、その名もキャバノン(休暇小屋)と呼ぶ、小さな小さな住まいを拵え、短パンひとつで製図をし、倦めば眼下の海で泳いでいたらしい。なんと素敵な。
これらは、建築家中村好文氏のリポートで知ったのだが、同氏の別の記事では、僅か一間に暮らす着流しの鍛金職人の話があって、それも削ぎ落としたような簡素な暮らしがとても印象に残った。恐らくこの頃から、憧れは募り始めたような気がする。もっとも、僕は釣り道具もクルマも捨てられないから、少しだけ大きめになるだろうけどね。実現したいなあ。

多少イメージに近いわが家の車庫にある工作室。

杉板の無塗装。雨に濡れたらそれもまたよし。

コルビジェのキャバノンに意外と似ている。

もう少し山寄りの見晴らしのいいところに。

by 江副 直樹 2023-1-25 17:05 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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