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例年よりも気温が高いらしい。長袖シャツだけでも一向に心細くなる気遣いがない。

東京から戻ったその夜、地区の子供会でお月見会が開かれた。過疎の村ならではの少人数で、今年は10人を切っているが、それはそれでこぢんまりとまとまって、大きな家族のようなのどかな空気が心地よかったりもするのである。さあ、月は現れるか。

子供会でなくとも、過去何度か月見をしたことがある。福岡郊外のマンション住まいの頃、ベランダにとどまらず、公園や高原に出向いて、観月としゃれていた。花見もそうだが、花鳥風月を愛で、季節を自然の儚さに見出すこの国の文化は、世界に誇るべき価値基準だと思っている。子供会の行事に、お月見があるなんて、なんて素敵なことなのだろう。
僕らは普段、カレンダーと時計の数字に縛られている。しかし、そんなこととは関係なく、自然は着実に時を刻む。いわし雲が出て秋を知るとか、梅が開花したからヤマメは毛鈎を追うとか、あの山に雲がかかれば夕立だとか、自然の移ろいがまさに歳時記となり、営みのよすがとなることの素晴らしさ。その夜、山間の小さな集会所でそんなことを考えた。

今日は次期九州ちくご元気計画の打合せ。いよいよだ。明日は久しぶりに佐賀へ行く。

壁に現れた満月。

生憎、月はお隠れになったので、懐中電灯で急遽演出。子供たちは大喜び。

月見団子をみんなで。

毎年、月見団子をみんなでこさえて、食す習わし。大人は酒を呑んで寛ぐ。

多様な団子の完成。

粘土細工よろしく、子供たちは好き勝手に粉を練る。ちゃんと食べるんだぞ。

夜に浮かぶ分母庵。

帰り道。谷向かいにわが分母庵が浮かび上がっていた。あたりは真っ暗だ。

by 江副 直樹 2012-10-15 21:09 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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