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お墨付き。

2022.5.5

小社Bunboを立ち上げた25年前、広義の編集、プロデュースの可能性にひとり興奮して、ありとあらゆる方面に吹聴していたが、反応は冷ややかなものだった。精一杯理論立てて、言葉を選び、委を尽くして話したはずだったが、結果は連戦連敗。愕然悄然としたものだ。

普段は優秀な後輩にさえ、面と向かって「今回ばかりは理解できません」と正直に言われたこともある。それが、一旦雑誌などに取り上げられたりすると、反応はガラリと変わった。著名なメディアほどその傾向は顕著だった。「ずっと前から言ってたやん」。僕はそんな気分一色。数々の受賞もほぼ同じかそれ以上の効果があった。腑に落ちないが、納得した。
自己判断の域を超えると、誰かに代行して貰う必要がある。最も効果があるのは、権威のお墨付き。太鼓判が押されれば、人々は安心して支持をしてくれる。自分で考えなくていい、判断しなくていい。ブランドとは、その信用を勝ち得た人や商品や企業のことだと気づくのは、それから少し後のことだ。もっとも、思考停止や判断放棄はしないほうがいいけどね。

名も無きスペインの時計とベトナムの指輪。随分愛用した。

 

by 江副 直樹 2022-5-5 10:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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