
雑談と行間。
2024.10.18効率化などと言う。合理化などと言う。なにかの目的に向かって、直線的な最短距離を進むことを指す。成就への無駄を排する作法を意味している。言外に、カネにならないことは、極力削っていこうという心根が見え隠れする。その先に期待されるのは、果たして?
寄り道なく一直線に、換金を目指したいのだろう。人情としてわからぬではないが、その結果無味乾燥のわずかな数字だけが残る悲哀に陥らないだろうか。人生は些事にありとは、敬愛する山本夏彦翁の卓見だが、詰まるところ、大事なことは道草や雑談や余白や行間にこそ存在しているのではないかと思う気持ちは、歳を取れば取るほど強まっていく。
カネにならない趣味などはその典型で、投下した金額と照らし合わせて、元は取れるのかなどと言う野暮の極みのようなことを言われたりすると、そんな時は得も言われぬ深い切なさに覆われる。花鳥風月に値札は付かない。詩をうたっても碌は食めぬ。しかしながら、誇りや幸福を支える文化は、そこにしか立ち上がらない。そしてすべては目に見えぬ。
by 江副 直樹 2024-10-18 12:12