関係を作る。
2023.9.19この世はすべて、目に見えるものと見えないものでできている。前者を具象と言い、後者を抽象という。見えるものだけでそれらを解釈し、説明しようとすると、表層をなぞらざるを得ず、当然本質から遠ざかることになる。ありとあらゆるものにこの構図は付いて回る。
デザインを習ったことはないが、なぜか教えるという不思議な立場にいる。だからこそ気づくこともある。そのひとつが、デザインは造型を考える仕事のようでいて、実は関係を作る仕事ではないかという仮説。グラフィックなら写真、コピー、紙。空間なら、建材、環境。それらを組み合わせて、「そこに必要な関係」を新たに作り上げる仕事なのではないか。
目的によって「関係のあり様」が決まり、「コンセプト」でそのあり様を伝え、「ディレクション」でそのあり様を実現して行く。面白いのは、素材は見えるが、関係は見えないということ。そして、デザインに付きまとう美醜とは、その関係のバランスの巧拙だろう。毎年学生たちにこの仮説を披露するが、およそ目が泳ぐ。うーむ。学生との人間関係が問題か。
by 江副 直樹 2023-9-19 10:10