貨幣の増殖。
2021.5.20資本主義の本質は貨幣である。とその本には書いてあった。アダムスミスやケインズを勉強して、買い物をする者はいない。かと言って、お金のやり取りに無関係な者もまたいない。かつての共産主義国家でさえ、資本主義と繋がりながら存在していた。なるほど貨幣か。
さらに、資本主義は貨幣の自己増殖をめざしていると喝破。昨今の薄気味悪いマネーゲームも一刀両断してくれる。本来貨幣は価値の代替物、仕組みを支える媒体だったのに、いつの間にか主役に躍り出た。カネをカネで買う異常。この違和感は、ずっとつきまとって離れない。経済成長が必須とする論調と併せて、僕らが添うべき理論は他にあるのではないか。
そんな煩悶の中で、この指摘はとても腑に落ちるものだった。本の名は「資本主義を乗り越える」。著者は、森の哲学者で知られる内山節氏。縦横無尽の一連の著作の中で出会った知見のひとつ。経済も政治も、苦手なんて言ってらんない。おおよそでも理解しておかなければならないテーマはいくつかある。還暦の手習いと自嘲しつつ、今日もまた項をめくる。
by 江副 直樹 2021-5-20 10:10