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成熟と劣化は表裏一体。これは、逃れようのない真実だ。成功裡に永く続くプロジェクトも、実はその裏に着実に衰退の兆しを多く孕んでいるものだ。これまでさまざまなプロジェクトを経験して、いま改めて実感している。では、なぜそうなるかを考えてみよう。

新しいプロジェクトは、おおよそ何らかの行き詰まりの打開を求められて始まることがほとんどだ。既成の方法論が閉塞に至ったものの、解決の目処が立たずに声が掛かることが多い。勢い、見たこともない提案をすることになる。新たな病には、新薬が必須。ところが、ここには拒絶反応が出やすい。プロジェクトの立ち上がりは、常にわずかな理解者のみ。
しばらく経つと、薬効が出始める。にわかに賛同者が増え始め、鮮明に成功が見えるようになると、さらにわらわらと当初の試行錯誤やリスクテイクとは無縁の人々が寄ってくる。彼らはその成功を維持しようとして、冒険をしなくなる。さらにリスクを避けようとする。果たして、プロジェクトは進化を止め、いつの間にか衰退の下り坂に陥っていくのである。

見たことのない病には見たことのないクスリ。

by 江副 直樹 2024-9-6 10:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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