
碧く小さな花の3月。
2012.3.16数日前の高原は、気温が0℃だったが、今日の村は10℃を遥かに超えていた。
何によって、春の訪れを実感するか。それは人それぞれだろうと思う。冬の厳しさ故に、北国では雪を割るフキノトウがそうかもしれない。九州では、やはり梅の開花がその代表だろうか。梅が開き始め、ウグイスの声が聞こえれば、といったところだろうか。
僕はどれもそれなりに春到来を感じるけれど、個人的にひとつを挙げるとすれば、それはオオイヌノフグリにとどめを刺す。枯れ草に覆われた冬景色が、日に日に緑を増やしていく頃、あちこちの地表に現れる碧く小さな花の群れ。その一群が、日溜まりの中で、木枯らしのごとき寒風に揺れているのを見ると、わが春もいよいよと感じ入るのである。
なんとも可憐な小さな碧は、ヤマメ釣りの解禁直後に合わせるかのように、各地の河畔で咲き乱れる。釣り用のゴム長で踏みしめるのがためらわれるほど、それは僕の心を掴んで離さない。それにしても、その名のなんと理不尽なことか。フグリとは陰嚢ことなのだ。種の形状が似ているとの説があるが、僕は敢えて別名の、瑠璃唐草と呼んで上げたい。
尻を蹴られるスケジュールではないものの、山積の宿題をそろそろ片付けなければ。
by 江副 直樹 2012-3-16 22:10