桜花散る頃に。
2013.4.4風が吹くと桜が舞う。平地では葉桜が目立ち始めた。木々には瑞々しい若葉。
村内にある記録制作 手仕事舎と、そこで催される宝珠山小劇場のことは再三書いた。何も知らずにこの村に越してきて、すぐに教えられた場所。古い木造中学を仕事場とするドキュメント制作を生業とするグループ。主要メンバーは東京からの移住だと聞いた。
リーダーの故・田村悟史氏(本名:中村考一)は、自由な気風を漂わせるインテリで、過疎の村で出会う人物としては、違和感を越えたスケールをお持ちだった。改修を重ねた仕事場は、圧倒的な蔵書、6万枚ともいうSPレコード、骨董の家具や食器など、魅力が凝縮していた。そこで、仕事の傍ら不定期で小粋なイベントを催した。それが宝珠山小劇場だ。
僕や家族にとっては、そこは人とつながるサロンであり、刺激的な情報が行き交うメディア。手仕事舎のお陰で、僕らの田舎暮らしは期待以上の豊かさを伴った。その手仕事舎がついにこの3月を持って幕を閉じる。この日は最後のSPレコード研究会。蓄音機から流れる音をこれほど寂寥感を持って聞いたことはない。心からありがとうと言わせていただく。
3日間の東京から戻り、今日から数日は若干緩め。明日は元気計画の歓送迎会だ。
by 江副 直樹 2013-4-4 22:10