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最近、面白い話を聞いた。留学経験のある方々が、期せずして同様の思い出話をしてくれたのだが、片やアート、片や化学の領域でアメリカとイギリスの大学で味わった経験が、ほぼ同じ内容の日本人評。それは、「日本人はまとめ好き」なる皮肉だったという話。

これにはピンと来て、思わず膝を叩いた。つまり、会議等でその終わりに必ず暫定的集約をしたがる傾向をからかわれたのだ。遠大なテーマであればあるほど、そうそうに道は見えず、結論に至るには時間が掛かる。一方で、課題を持ち続けるのは、精神的にキツい。早くスッキリしたいのが人情だ。この経験談は、その性急さに対する冷笑だと思われた。
新しいプロジェクトを始める際に、まずロードマップを欲しがる人々も相変わらず多いが、新規性が高いものほど、その地図自体を作る探検であることがわかっていない。レヴィストロース先生のブリコラージュも、わからないまま持ち続ける知恵のカタチについての論評だろう。曖昧の排除は、見たことのない可能性の殲滅である事実に気づこうではないか。

それは旅に似ているかも知れない。感じ、考え続ける旅。

by 江副 直樹 2024-8-19 10:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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